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連結CFを効率的に作成するための勘定科目の工夫

連結CFを効率的に作成するための勘定科目の工夫についてご紹介します
 

はじめに

0-1 連結CFの作成元資料について
  • 連結CFを作成するためには以下の情報が必要です
    • 連結精算表
    • 連結PKG(現金及び現金同等物、固定資産、投資関連、財務関連)
  • ここでは、連結精算表における工夫をご紹介します
  • これらにご対応いただいた上で、CFマッピングを設定する にて登録することで連結CF計算書の作成をほぼ自動化することができるようになります
 

Step1 固定資産、投資用の未収・未払科目を作成する

1-1 工夫対象となる勘定科目について
  • 連結CFを作成する際に個別に調整が必要な項目として、固定資産や有価証券の取得時の未払金や売却時の未収入金などがあります
  • これらは個社連結PKGに記載する箇所がありますが、一つ一つ例えば未払金の中から固定資産に関するものを探して手入力していく手間は省きたいところです
  • そのため、勘定科目で以下のように工夫していきます
1-2 「設備未収入金(有形)」「設備未収入金(無形)」「設備未払金(有形)」「設備未払金(無形)」「投資有価証券未収入金」「投資有価証券未払金」等を新規作成します(以下、freee会計をベースにご紹介します)
  • freeeの設定→勘定科目の設定画面にて新規作成してください
  • 設備未収入金及び設備未払金については、有形固定資産と無形固定資産の場合それぞれ必要なため、「設備未収入金(有形)」、「設備未収入金(無形)」及び「設備未払金(有形)」、「設備未払金(無形)」を作成してください
(例:設備未収入金(有形))
(例:設備未払金(有形))
 

Step2 収入・支出取引相手勘定科目を変更する(freee会計の場合)

2-1 固定資産、有価証券の「収入・支出取引相手勘定科目」を変更します
  • 「収入・支出取引相手勘定科目」を、上記①-2で作成した「設備未収入金(有形)(無形)」及び「設備未払金(有形)(無形)」「有価証券未収入金」「有価証券未払金」に変更してください
(例:機械装置の勘定科目の編集画面)
 

Step3 関係会社に対する投資・財務関連の科目を分ける

3-1 関係会社に対する投資・財務関連科目は相殺消去されてしまう
  • 例えば、関係会社に対する貸付金や借入金については、関係会社債権債務の相殺消去により連結財務諸表上は消えてしまいます
  • 簡便法で作成する連結CFWSにおいては、すでに消去された関係会社に対する借入金に関する情報は不要です
  • そのため、個社連結PKGの増減表においては、グループ外部に対する貸付金や借入金のみ記載することになりますが、勘定科目が外部貸付・借入と同じ勘定科目を使っていると、関係会社に対する貸付・借入が含まれた金額が取り込まれてしまいます
3-2 関係会社に対する投資・財務関連科目の勘定科目を分ける
  • 関係会社に対する貸付金や借入金は、「関係会社貸付金」や「関係会社借入金」などの勘定科目を使い、外部に対するものと勘定科目単位で区別できるようにしておくことをお勧めします
  • 個社連結PKGの「試算表から取込み」ボタンをクリックすることで、「関係会社貸付金」や「関係会社借入金」も取り込まれてしまいますが、その単位で削除してしまえばいいので、同じ勘定科目内の金額を調整するより簡単です
 

Step4 外形標準課税の未払計上科目を分ける

4-1 法人税等には利益に連動する税金のみが計上される
  • 法人税等には利益に連動する税金のみが計上されるため、利益に連動しない事業税の外形標準課税部分(付加価値割、資本割)は含まれません
  • そのため、未払法人税等に外形標準課税部分の未払が含まれている場合はそれを法人税等の支払額に含めないように別途調整する必要があります
4-2 利益に連動しない税金に係る未払計上科目を分ける
  • 未払法人税等に含まれる外形標準課税部分を毎回分けるのは面倒なので、勘定科目ごと分けてしまうことをお勧めします(「未払事業税等」)
 

Step5 利息の経過勘定を分ける

5-1 「未収利息」「前払利息」「未払利息」「前受利息」を新規作成します
  • すでにfreeeにある科目もありますが、新規作成については上記Step1をご参照ください
5-2 「受取利息」「支払利息」の収入・支出取引相手勘定科目を変更します
  • 上記Step2をご参照ください
 

Step6 投資・財務活動、並びに、現金及び現金同等物に係る為替差損益を分ける

6-1 「為替差損益(貸付金)」「為替差損益(借入金)」「為替差損益(現金預金)」等を作成します
  • 新規作成については上記Step1をご参照ください
  • 6-2 投資・財務活動に係る債権債務の換算時、現金及び現金同等物の換算時にはこれらの勘定科目を利用します
 

Step7 固定資産の売却損益を有形と無形に分ける

7-1 有形と無形を分ける理由
  • 営業活動(小計欄より上)では分ける必要はないですが、その後の投資活動での調整において、「有形固定資産の売却による収入」なのか「無形固定資産の売却による収入」なのか分ける必要があります
  • そのため、勘定科目も分けておくと調整が簡単になります
  • なお、CF科目を作成する で「固定資産売却損益」と1つ作成し、勘定科目を分けて作成した「有形固定資産売却益」や「無形固定資産売却益」についてはCF科目として作成した「固定資産売却損益」に集約すればシンプルなCF計算書になります
7-2 「有形固定資産売却益」「有形固定資産売却損」「無形固定資産売却益」「無形固定資産売却損」を作成します
  • 新規作成については上記Step1をご参照ください
  • 7-3 freee登録時にこれらの勘定科目を利用します
 

Tips

  • 単体の勘定科目を修正することが難しい場合は、個別修正仕訳でCF調整しやすいような科目に修正する方法もありますのでご検討ください
    • 例:未払金の中に設備関係(有形)が1,000ある場合
      • 個別修正:未払金 1,000/設備未払金(有形) 1,000 ※前期も同様に修正しておく必要あり
 

関連Step:個社連結PKGを効率的に作成するためのfreee登録時の工夫